初夏の土曜日、セッションを受けるために、セラピストの川口春恵さんのもとを訪ねた。
二週間前に、彼女の自宅でのお茶会でいろいろお話を伺い、自分の中にまだ癒されないインナーチャイルドがいることがわかり、その子を癒すためのセッションが必要だと気付いたからだった。
最初に詳しいヒアリングシートを記入していく。そこから家族関係などから様々なことが読み取れるのだそうだ。もちろん守秘義務は守られている。
それからカードを一枚引いた。
現状を表すのか…タイトルは「コントロール」
きっちりして悪くはないが、ちょっと堅苦しいかな…という印象を述べた。
背もたれを倒した椅子に深々と横たわり、目を閉じてクリスタルボウルの不思議な音色を感じながら、内なる旅へと向かう。
その前に「心の庭を思い浮かべてください。何かあればここに帰ってきます。ここは安心・安全な場所だから大丈夫」と言われた。たまに行う瞑想の時に思い浮かべる、山の中の木々に囲まれた湖を思いおこした。湖面が波立っていなければ、心が平穏なのだ。
そこには石の階段を降りて向かう。扉を開けると明るい林が見える。ただ湖はどこかにあるはずなのにこの時点では、見当たらなかった。
それを確認して再び扉を開き、インナーチャイルドを探す内面の旅に出る。
そこは雨雲が迫り来る砂丘。
どんな感じがしますか?という春恵さんの問いかけに、胸に鉄のような金属のパネルがパチンとはまった感じがします。と答える。
では人生でこの鉄のパネルがはまった時へ行ってみましょう、という誘導のもと、再び潜在意識のなかを移動する。
そこに浮かんだ風景は、ありふれた日本の山里だった。見た瞬間「やっぱりここか」と思う。テレビなどで見た風景も混ざっているかもしれないが、ベースになっているのは幼い頃預けられた埼玉県北部の田舎の景色…父方の祖母の家だ。
桜のような花をつけた木と
菜の花畑から続く細い道
周りを囲む雑木林
ただ風だけが吹き渡っている。
そこに幼い女の子がいる。4〜5歳?いやもっと小さいかも…多分弟が生まれるので田舎に預けられた2歳近い私だ。
ぼーっと道端に座っている。帰り道がわからなくなっているようだ。でも迷子によく見られるような、不安で泣き叫ぶ様子はない。このままここにいてもいいや、と思っているようでもある。
「たぶん私が居なくても、誰も捜しに来ない」
この子が例のインナーチャイルド?
春恵さんから言葉をかけるよう促される。「どうしたの?怖くないよ」
小さな子は急に声をかけられてビックリしている。置いていかれて淋しかったよね、と話しかけると、
「淋しいと思っちゃったら飲み込まれちゃうから…そういう風に思わないようにしている」と答えた。
かつて自分の子を抱きしめたように、その子をぎゅっと抱きしめてみた。
気が楽になる
守られている感じがする
あの鉄のパネルは、初めは心を防御するためにあった。ただそれが淋しさに取り込まれて、自分を内側から刺すようになった。
捜しに来てもらえないのは、淋しいこと、惨めなこと。
だから「誰も私を探さないで」と自分から言い換えた。
その子の言葉か自分の言葉かわからないくらいに一体化して、なぜか涙が出てきた。
誰かに内側に入り込まれるのは怖い
隠してきた何かを見つけられてしまうから
何かやろうとする時に「怖い怖い」という声が聞こえていたのは、この子からだったようだ。
親が子の話を聴くように、小さな子の紡ぐ言葉に耳を傾ける。
それはかつて言葉にしなくても、自分が感じていた思いなのか。数十年の間封印されていたものが、表に出てきた感じだ。
セッションを終え、帰途に着くと、小さな子がしがみついているような感覚を覚えた。よしよし、家まで連れて行ってあげるよ。
セラピストさんを信頼して、その言葉に従っていくと自分の知らない自分が見つかる。すぐに楽になる、というわけでもないが、より深い理解が肚の底からできる、世界を見る視点が変わってくる、そんな気がした。
興味のあるかたは、一度お茶会から参加してみてはどうだろう。何か引っかかるものがあればセッションをお願いするといい。駅から徒歩8分の住宅地にあるとは思えない、森の中のセラピールームで、豊かな時間を過ごした一日だった。
*次回のお茶会は9月17日
アメリカ旅行のお話も伺えます。
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