《おことわり》
この記事はあくまでも私個人の体験を綴ったものです。
実際の治療に関わっている方は、主治医の判断を仰いでその治療方針に従ってください。そこで納得がいかなければ、他の信頼できる専門家を尋ねてみてください。
2023年もあと1ヶ月余り。
晩秋の日を私は病室内で過ごしている。人生2度目(お産を除く)の入院そして手術だった。
ただし今回のそれは、7月に肘の骨折→金属板による固定手術を行なった整形外科の治療ではない。そちらはまだ可動域は元に戻らないものの、経過は順調で週2回のリハビリ(家では毎日自主トレである)と月1回のレントゲン撮影・医師の診断と確認を行なっている。日常の動作は両手で顔を洗う事(まだ左肘が完全に曲がらず顔に手が届かない)以外はほぼほぼできるようになった。左手の握力は右手の半分になってしまったが、それもトレーニングで回復を図っている。
ではなぜ再び入院・手術となったのか。
話は1回目の入院・手術に向けて準備をしていた4ヶ月前にさかのぼる。
【事の発端】
当時は左腕が動かせなかったため、長女に入院のための買い物や入退院時の車出しをお願いしていて、そのためのやり取りを私と長女・次女3人のショートメールのスレッドで頻繁に行なっていた。(なぜか娘たちのグループLINEには入れてもらえない…)
そんなある日長女からこんなメッセージが届いた。
"今、I大附属病院(注:都内で階段転落時に意識不明になって救急搬送された病院)の救急のHさんって人から連絡あって、CTで見ると左胸に腫瘍のようなものがあるから、それも骨折の手術終わったあと早めに診てもらった方がいいと思って連絡きた。
今の病院でそのまま診てもらってもいいし、近くの婦人科とかでもいいと思うから、診てもらおう。"
…あらまあ。
それって以前人間ドックで「石灰化・要観察」って言われたところかしら。
でも頭の中は折れた左肘の痛みと、人生初の入院・手術のことで一杯で、他のことが入る余地がない。「とにかくこっち(左肘金属板固定手術)が落ち着いてからねー」と返信して、7月25日入院、翌26日手術、28日に退院し31日にリハビリ開始。8月4日に術後初めての診察で骨折の治療は一段落し、後は週2回のリハビリと月1回の診察を繰り返し、機能回復に努めるだけとなった。
さて、これで「CTに映る影」に向き合わざるを得ない。
【影の正体】
8月8日。整形外科のリハビリで通っている病院の受付の機械で「他の科を受診する」を選び予約する。胸だから婦人科かと思ってそちらに受付票を出し待っていたら「違いますよ。胸は乳腺外科ですね」と言われてそちらにまわる。
担当してくれるのは温和そうなW医師。整形外科に送られたI大附属病院でのCT画像を、乳腺外科でも共有できるのは総合病院の強みだなあ。
「ああこれね。確かに何かありますね…しかしよく見つけましたね」素人が見たら胸の端の方にうっすらと白い影はあるのはわかるけど…わざわざ退院した、しかも自分の病院の患者にはならない人間に電話して教えてくれるなんて。本当に奇特な人だ、ありがたい。
とにかく詳しい検査をしなければわからない。ということで、2日後にマンモグラフィーとエコーの検査を予約した。こちらの検査はその日のうちに結果が出る。画像を見て「うーん、やはり生検をしないと良性か悪性かわからないからね」とW医師。
そうくると思った。
"組織診(生検)は、乳房の病変部に細胞診よりも太い針を刺し、病変部の一部を取り出す検査です。"(中外製薬「おしえて乳がんのこと」より)
医師からは「ホチキスみたいなのでパチンと大きな音がしますからね。ちょっと響きますよ」と聞かされたが、要は針で組織を取り出すらしい。ただ自分の場合、そんなものを目の当たりにしたら検査どころではなくなるので〜なにせ採血の時に自分の血を見て血圧急降下する人間なので…この分野だけは気が弱い〜目を閉じてただ終わるのを待つ。
パチン、パチンと2回組織を採取した。その度にごめんなさいねー、ごめんなさいねーとW医師は言うのだが…
いやそれ一回でいいから。
その日は会計で待たされたあげく、料金が19480円と予想以上でクレジットカードで払った。たまたま近所の方と病院で会って、その方が車で送ってくださるとおっしゃってもらったのに…ずいぶん待たせてしまうことになった。
暑い中本当に申し訳ない。
生検の結果が出るまで2週間。
記録的な猛暑の中、家で久しぶりに夏の甲子園大会をテレビで堪能しているうちにその日はやってきた。
8月29日。乳腺外科の外来で医師から告げられだ結果は….。
(その2に続く)