今年の7月半ば、階段から転落して一時意識不明で救急搬送、左肘骨折で入院・手術までの顛末を書き記している。
その1:事の顛末
https://www.mi77.jp/entry/2023/08/26/155724
その2:皆のコメントで初めて起こったことを知る
https://www.mi77.jp/entry/2023/10/13/144907
その3:肘の手術を待つ間、わき上がってきたもの
https://www.mi77.jp/entry/2023/11/08/095511
その4:入院そしていよいよ手術
(前編)
https://www.mi77.jp/entry/2023/11/22/203841
「河野さん、河野さん」
周り中から3、4人に呼びかけられる。一瞬「うるさいなぁ」と思ったが、そうだ、手術が終わったんだ、とわれにかえった。
「わかりますかー?」と看護師さんから問われ「はい」と答えた…つもりだったのだが「…はぁ〜ぃ…」と蚊の鳴くような声しか出ない。意識もぼーっとしている。
意識の奥底の自分は普段と変わらないのに、そこと外からの働きかけに応じる意識、さらに身体(口の動き等)がうまくつながっていない感じだ。
ストレッチャーからベットごと移動して病室に戻ったと思うが、記憶が定かでない。ずっとうつらうつらしていたのだろう。
とりあえず娘たちに手術が終わったことを伝えないと…と携帯を右で取ろうとして少し動いただけなのに、左腕に痛みが走る。
措置・固定の仕方が良かったせいか、骨折の痛みは同じ姿勢を取っていればそんなに感じない。痛さというか「ゴロッ」と肘関節の骨の一つが変な方向に動く時の違和感はなんとも言えないものがあったが…
そこに2枚の金属板を入れボルトで骨を固定し正しい位置に整えるのが今回の手術なのだが、今までの痛みとはまた質の違う「切った傷の痛み」が麻酔がきれるにつれて波のようにやってきた。
今までの「身体が楽な姿勢/ポジション」とは違うまた楽なポジションがあるんだろうけど、それを見つけるまでに七転八倒した。
それでも「終わった」と娘たちとの共通スレッドに打ち込み、
「お疲れ様」の返信が2人から返ってくる。
そして「手術順調でしたよー♬」とドヤ顔で整形外科の執刀医の先生が挨拶に来たのは覚えている。
翌日。その日の昼ごはんから食事が再開されたが、とても食べられる状況ではなかった。
次の日の退院の時間等、迎えの車を出してくれる長女に連絡する。頼んでおいた書類の確認事項などを問い合わせるメッセージなどが折り返し届く。右手で打つのだが携帯を構えるだけで痛みが走るので、単語をいくつか返すのが精一杯だった。
するとそのうち
「何が大変なの?なんて言われた?あんた主語がなくて全然わかんないからちゃんと説明して。」
と長女から。
「書類大丈夫
大変なのは痛みや熱」
と返してその後数回のやりとりの後、
「あのさ、子供じゃないんだからちゃんと文章にしてよ。こっちも忙しい中連絡してんだから。
(以下略)」
「痛くて打てないんだっては」
そのうちこのやりとりをみていた次女が書き込んできた。
「おね(注:長女)の言いたい気持ちもわかるし、返答で重要なこと何言ってるのか分かりにくい文も確かにあったんだけど、、
私も全身麻酔した後その次の日までずっと眠かったり頭ずっとぼーっととかするくらいだから、昨日もケンカっぽくなってたし、もうあんまり強く言わない方が良いと思うよぅ
口挟みたい訳でもないんだけど、ちょっと術後のこともわかるから気になって、、!
気は悪くしないでほしいので、これにはなんの返信も要らないから、また後で〜🙆♀️」
長女は全身麻酔での手術の経験はない。なのでこうしたやり取りになったんだと思って2人のやり取りを見ていたが、
この時の長女と同じように「何言ってるかわからない。結論を先に言って!」と娘たちがまだ小中学生の時に言っていたような気がする。子供の頃ぼーっとして優柔不断に見えていた長女は、大学生時代にバイトを始めてから、ものすごくしっかりしてきた。その反面ちょっとキツい言葉を身内の中では使うことが出てきた。
まあでもなぁ…
こう育てちゃったのは私だしなぁ
長女と次女のやり取りが、今私が学んでいるプロセスワーク(心理学の一つの手法。ただそれにとどまらない深さがある)でいうところの、
・1次プロセス:自分である、自己一致しているもの。馴染み深いもの(ここでは長女「ちゃんと説明して」)
・2次プロセス:自分ではない馴染みのないもの。時として嫌な・望ましくないもの(ここでは次女「麻酔が残っているのでぼーっとして訳がわからない文しか返せない時もあるのだ」)
のやり取りに見えて興味深かった。
バタバタと退院して、夏の間は記録的な暑さもあって、冷房の効いた部屋で夏の甲子園三昧(開会式を見たのは小学校の時以来だ)、その間に週2回のリハビリや、オンラインでのセッションや講座を受けて過ごした。
最初は皿一枚持てなかった左手も、日常の家事等だんだんと元通りにできるようになってきた。
手術からまもなく4ヶ月になる。
経過は順調で、固定された骨も自力で半分以上くっついているのを月一回レントゲンを撮って主治医と確認している。
術後約2ヶ月で車の運転も再開できた。あとはまだ正常に戻っていない可動域と(左肘が曲がりきらずまだ顔にようやく指先が触れるくらいなので、両手で顔が洗えない)、右手の半分以下になっている握力の回復、それとずっと残っている左手指のむくみの解消を目指して、目力美女の理学療法士さんとストレッチメニューを相談しながら引き続き週2回のペースで行っている。
まだ「体力は以前の半分」って感じなのだが、「それで人並み」と返されることもある(笑)
あと出来事としてはとんでもないことだったが(アルコール入った状態で階段から転落し救急搬送。危うく現場の仲間のサロンを"事故物件"にするところだったと言われたw)、視点を変えてみると深い分岐点・学びであるとわかる。これは4年前から学んでいるプロセスワークの視点から見るところが大きい。これも改めて別の機会に記したいと思う。
さて。
このシリーズもここで一旦終わる。とはいえこれを書いているのは4ヶ月前に手術したのと同じ建物内の病室であり、あと1時間半後には手術を受ける。
先の整形外科でのケガの回復は順調‥ではいったい何か?
それは術後回復次第綴っていく予定なので、気を長くして待ってくださる方は待っていてほしい(笑)
(了)