「自分の感情」を味わってみたことがあるだろうか。
大人になるにつれ、そういうひと時がだんだんと少なくなっていく。あるいは、子供の時から「感情にフタをする」ことで自分を守ってきた人もいるかもしれない。
そんな感情のエネルギーを、アートにして展示しているのが、この個展だ。
感情の要素として「喜怒哀楽」がよく言われるが、こちらでは「怒・哀・楽・愛・喜」の順にコーナーが分かれている。
各コーナーの間には薄い幕があってそこをカーテンをめくるようにして入っていく。まるで感情の層を降りていく「ジャーニーワーク」のようだ。
絵の具の厚み、筆の勢い、ときには思いもよらない手法で感情のエネルギーを表現している。
絵の前にたたずみ、そこから湧き出るものを感じてみる。
この時、自分は説明書きがあるとついそちらから「読んで」しまうことに気がついた。どうやら言葉にせずに感じることが苦手のようだ。
作者の大野さんは、気さくに声をかけてくださる。
「アートの敷居を低くしたい」という思いが彼女にはあって、とても自由な雰囲気の展示だ。なので一般の美術館での静かな美術鑑賞に慣れている人は、最初戸惑うかもしれない。
作品の撮影も自由。
気になったものをいくつか挙げてみる。
「愛」をテーマに
中心にあった「Just my Love」
「喜」のコーナーより「六カイカ」
モチーフはラナンキュラスという花
「wing melody JAPON」
「楽」のコーナーより
「私の組み合わせ」とてもユニーク
自分だとどんな作品になるか、作りたくなってくる
「怒」実際の色彩はもっとドス黒い感じ。私ならどんな色で怒りを表現するんだろうか。
図録がないので、タイトルが違っていたらご容赦を。
作品に向き合っていると、自分ならこのテーマでどう描くだろう、どんな色を使うだろう、という思いが絵心のない私にも湧き上がってくる。
ただ、ほとばしるような、ある時はみっちりと塗り固めて行くような、こうした絵は感情を解放しなければ描けないだろう。
できれば会場で直に感じて欲しい。
目黒区美術館・区民ギャラリーにて3月28日まで。
会場アクセス
https://mmat.jp/access/index.html
大野幸子さん
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